日常

さすらい~奥田民生の歌詞から人生の生き方を学ぶ オススメも紹介~

こんにちは。和尚です。

学生時代だったときに、よくいろんな音楽を聴いていました。当時は今のような配信サービスもなく、音楽を聴くならレコード屋さんに行って、CDを買ったりレンタル屋さんで借りたりという時代。

お店のレビューやテレビ、ラジオで聞いたことを頼りにしたり、ジャケットに惚れ込んで買ってみたりと、たった1枚のアルバムを選ぶためにバイトをして必死に選んで買っていました。

今日はそんな時代によく聞いていた、奥田民生さんの曲についてお話します。

おやつタイム~みんな混ざってみんな〇〇~こんにちは。和尚です。 皆さんはおそらく日常では常識的なこと守り、生活されていると思います。 そこにはきっと慈悲があり、優し...

さすらい

「さすらおう この世界中を ころがり続けてうたうよ 旅路の歌を」

聴いたことがある方もいらっしゃるとは思いますが、冒頭はこんな歌詞で始まります。

どこか牧歌的で呑気な曲調と、本人の歌い方は優しくて懐かしい、しかし激しくロックしています。

流離う(さすらう)

どこというあてもなく、また、定まった目的もなく歩きまわる。漂泊する。流浪 (るろう) すること。

辞典ではこのように書かれています。

行く当てもなく、ただほっつき歩く。そんなイメージ。

続けていくと、こんな歌詞があります。

「風の先の終わりを見ていたらこうなった 雲の形を まにうけてしまった」

「風の終わり」の先って見ることはできませんよね。見えない世界の先をただひたすら求めている姿。そして「こうなった」のは「さすらい」という表現に結びつきます。

そうしたら「雲の形をまにうけてしまった」

雲は変化するもので、それを地図にすることはできません。それを道しるべにしていては、迷うことになる。結果また「さすらう」ことになります。

なぜこんな意味のないことをまた繰り返し、求めてさすらうのでしょうか。

答えをさがすために

雲は常に変化するものであって掴むことはできません。でもひたすらさすらい求める姿。

目に見えないような音楽や芸術を表現する世界とは、まさにこういうことではないでしょうか。

「答えがない」「正解がない」中で一瞬何かを掴んで表現できた。しかし次の日それを見ると全然違うものになっている。またもがき、いろんなものをかじりながら新しい表現を求めていく・・・。

ただ何も考えずにほっつき歩いているのではない。

このループ世界に入ったことを「さすらい」というのです。

人はみんな仕事や専門をひたすら続け、磨いていくことに信用と美徳があると考えます。少しでも枠を外して違うことをすることは、その専門を疎かにしているということで良くないと考えてしまいます。確かにそれが信用となり、お金をいただくことにつながります。

私の場合はお坊さんという職。こういったブログや趣味のラーメン作りなど、人から見たら、「あの人お坊さんなのに何横道外れてるの?」と思われる方もいらっしゃいます。

極端な話、聖職者なのでひたすら肉も食べず、坐禅や掃除に明け暮れ、ひいては一般人を超えるような立派な存在になるのがあなたの生き方でしょう、と求められることもあります。

「無理」です。

確かにそのような生活を目指しているお坊さんもいらっしゃいますが、私にはこの「横道」、つまりさすらって「道草」を食うことが、お坊さんの道の更なる糧になると考えます。

なぜなら横道に入って、お坊さんだけの世界では到底知りえなかったことを勉強していくことで、いろんな方々とお話できたり、楽しくコミュニケーションしたり、気持ちを理解させていただくことができるようになってきたから。

そして何よりも出会った方々とのご縁に支えられていることを実感できたからです。

当然お坊さんという基本を外さず。

このままじゃ死なねえぞ

禅では「担板漢(たんぱんかん)」という言葉があります。

板を担いだら片方しか見えないということで、物事の一面だけを見て全体を見ることができない人のたとえをいいます。

小さい世界で生きている人は、基準が1方向でしかないのでそれに執着します。結果、応用が利かなくなり、衝突が起こり、周りから見放されてしまいます。

たくさんの世界を見て、それを自分の道に取り込むことによってオリジナルな自分の道ができるのです。

 

たった3分ほどの短い曲

「さすらいもしないで このまま死なねえぞ」

最後はこの歌詞で締めくくられます。

 

オススメ

奥田民生 股旅


牧歌的で優しく、どんな人生も肯定してくれるような素敵なアルバム。ミュージシャン奥田民生の世界があなたを包み込んでくれます。

さすらいくん


藤子A不二雄のさすらい世界観。おそらく先生は多忙なお仕事をする中で、すべてから解放されて旅をしたいというお気持ちがあったことでしょう。コミカルで哀愁漂うマンガ。

道草


夏目漱石の金字塔。もがき苦しむなかで生まれた小説。日常のどうにもならない人間関係と、お金のやり取りに苦しむリアルな描写が物語となって、俯瞰的に味わえる文学作品。なぜ漱石がこれほど文学で愛されているのかを知ることができます。