こんにちは。和尚です。
お経とは、お釈迦さまの言葉を文字に残された経典として伝えられていますがそれはあくまでも建前。
「我々はこのように聞いた(如是我聞)」と始まることがおおく、言い伝えのようになっていますが、お釈迦さまが亡くなられてからは仏教はどんどんオリジナルな解釈がなされ、それに伴い様々なお経が生まれました。
では実際のお釈迦さまが言われたとされるお経はないのか?と心配になりますが、もちろんあります。
今日はそんな最古のお経といわれる「法句経」の一節をご紹介します。

ダンマパダ
「法句経(ほっくきょう)」はパーリ語で「ダンマパダ」といい、世界で2番目に古いお経と言われています。
「法句」とは「真理のことば」という意味。全部で423編の詩句から成っており、お釈迦さまが直接説かれたことばとして選集されています。
そのなかの一節、第182
ひとの生(しょう)をうくるは難(かた)く
やがて死すべきものの
いま生命(いのち)あるは有難し
正法(みのり)を耳にするは難く
諸仏(みほとけ)の世に出づるも有難し
直訳すると
人間に生まれることはとても稀有なことであり、必ず死んでしまう存在であるのに
いまこの瞬間に命があるのは大変奇跡的なことである
そのなかでこのように仏法(真理のおしえ)に触れられること
そして伝えてくれる仏がこの世に出てきたことも奇跡なことである
原文は韻を踏んだ、とても美しい詩句。読むごとに心にリフレインされます。
お釈迦さま存命の時代では、文字に残すことがほとんどなく、何度もことばを繰り返すことによって記憶され、伝えられました。だから覚えやすいように韻を踏むようになったのです。

有ることが難しい
まず原文を読んでみて一番耳に触れるのが、「難い(かたい)」ということば。「固い」ではありません。
更に「有難し」は「珍しい」「稀有である」という意味です。
ここが第182番のスポット
現在人口は、約78億7500万人と言われています。しかしこの地球上で人間以外、例えば昆虫や微生物の数なんか、それはもう天文学的な数といえます。
そのなかで考えると、人間に生まれることなんて奇跡ですね。
さらに仏法に触れること。このチャンスを逃してはなりません。

現在我々が使っている「ありがとう」の語源は、この法句経の「有難し」から出てきたと言われます。
「有ることが難しい」と丁寧に書いてみますと、とても深い意味が伝わってきます。
英語でありがとうは「Thank」
この語源は「Think」からきています。
つまり思量することが感謝につながるということ。
「思」という字を思量すると「恩」になります。
お礼をするときだけでなく、この命を繋いでくれているご縁やご先祖様に毎日感謝しながら、今日も「有難し」を心にリフレインですね。
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