本から学ぶこと

ルサンチマン~嫉妬や妬みとは ニーチェの言葉~

こんにちは。和尚です。

テレビやインターネットをひらくと、「あの政治家がこんなスキャンダルを起こした」とか、「あの芸能人はこんな不貞を犯した」と、様々なところで誰かが何かを批判し、毎日のようにワイドショーになっています。

それがエスカレートして誹謗中傷となり、悲しいことに自死に追いやることも・・・。

公に出ている人は注目される存在である一方、攻撃される対象になります。これはいつの世も変わらない。

今日はそんな妬みや嫉妬の原因についてのお話です。

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ルサンチマン

「ルサンチマン」

発音からするとなんだかかっこいいヒーローの名前のよう。

「あ!ルサンチマンだ!」

「助けてルサンチマン!」

いやいや、そんなものではございません。

フランス語では「ressentiment」と書かれ、「~マン」といったヒーローネームじゃないです。本当の意味は、

「あの人は人気があり目立っている。恵まれた人だから調子に乗っているからけしからん!それに比べて自分は厳しい中、いつも頑張っている。だから自分の方が正しい。」

という心のはたらきを意味した言葉なのです。

これは哲学者「ニーチェ」が定義し、「自分よりも立場や生活環境が上の人たちに対する妬み、嫉妬、非難」ということを指しているのです。

そして人間が持っている本質にはルサンチマンがあると言っています。みなさん思い当たる節はありませんか?

不良の評価

いつも成功者や頑張っている人を見るとなぜかイライラしてしまうのは、まさしくこのルサンチマンが原因。

そこでニーチェはこんな言葉を残しています。

われわれに関する他人の悪評は しばしば本当は我々に当てられているのではなく まったく別の理由から出る腹立ちや不機嫌の表明なのである

事実というものは存在しない 存在するのは解釈だけである

例えば、昔不良だった人が改心して現在は真面目に仕事をして成功する。その人を知っている人からは、「ほんと立派になって、素晴らしい!」と称賛される。

しかしもう一方で、今まで波風立てなかったような人がその後仕事で成功するとどうでしょう・・・。「あんなおとなしかった人が成功するなんて・・・」と感じられることが多いはず。

しかも、前者の不良だった人は両親が離婚し荒れてしまった。一方後者は普通に両親や家族と共に不自由なく暮らしていた。

というように、それぞれ家庭環境を加えると、後者は不良だった人よりも恵まれていたという環境を妬まれ、それまでの過程がさらに嫉妬や悪評の対象になってしまうのです。

同じ成功者でもこれだけ評価が変わるのです。

だからニーチェはその人の環境や立場によって評価が変わり、それは人それぞれの解釈がそうさせていると言っているのです。

困難こそ一歩

ニーチェはとても頭の良い人だったそうですが、その生涯は天才であるが故の孤独と人々からの妬みばかり。そんな中ひたすら生きることの意味を常に模索し、あきらめずに筆を執り続けました。

晩年はその精神もついに限界を超えてしまい、広場で鞭を打たれている馬車馬を見て泣きながら発狂し、その後意識を失って廃人となったそうです。

難しい本を書き、彼を訳の分からない狂人の哲学者と思ってしまうかもしれませんが、こんな素晴らしい言葉も残してくれています。

自分を破壊する一歩手前の負荷が自分を強くしてくれる

いつか空の飛び方を知りたいと思っている者は、まず立ちあがり、歩き、走り、登り、踊ることを学ばなければならない

その過程を飛ばして飛ぶことはできないのだ

とても勇気が出る言葉ですね。今自分が味わっている苦しい状況も、目標や幸せに対する第一歩。

そしてあなたのイライラはルサンチマンがそうさせています。出てくるときは気をつけて!