こんにちは。和尚です。
私はそんなに本を読まない人なのですが、ブログをするようになって約3か月。
おかげでネタや興味が湧いてきて、いろいろと読書するようになりました。といってもまずYouTubeなんかで本の紹介をザッと内容を聞いてから興味があるものをピックアップして購入する感じです。
今回は一見避けたいような難しい本だけど、すごく読みやすく、人生の糧になる本を紹介します。特に組織トップの方にはオススメです。

貞観政要
むかし中国には「唐」という国がありました。皇帝の名は「太宗(たいそう)」
結構戦争ばかりしている歴史の中国のなかで、唯一平和であったのがこの太宗が納めた時代だったそうです。最も素晴らしい時代だったので、後世の人たちはお手本にするためにある本が大変重宝されました。
その名は「貞観政要(じょうがんせいよう)」
めちゃくちゃとっつきにくい名前ですね(笑)いやいやこれがおもしろい!
「貞観」というのはこの時代の元号。「政要」は政治の記録ということです。
なにがすごいのかと言うと、皇帝である太宗に対して側近たちが諫(いさ)めまくる本なのです。
「諫める」というのは、上の者に歯に衣着せぬ意見をバンバンすること。「諫言(かんげん)」と言います。

現代でも社長や会長に意見をすれば、最悪クビぐらいですが、この時代、皇帝に意見をするということは死に値するような行為。歴代皇帝は自分が一番なので気に入らない者はすぐ死刑にし、まわりはYESマンだけが残り、結果皇帝の欲望や贅沢によって国が滅びるということがほとんどでした。
そうはならぬよう、太宗自ら自分を諫めてもらう役職を設けました。その名も「諫議大夫(かんぎたいふ)」
普通耳の痛いことを言う身近な人は敬遠したいもの。しかしあえてそんな側近を登用したのです。その心は民衆を想う気持ち。これが太宗の心の柱であったから。
そして最も太宗が信頼した「魏徴(ぎちょう)」という諫議大夫。なんと戦争前は敵軍の参謀だったそう。自分を殺そうとしていた者を登用する太宗の懐の深さ。二人は礼節と立場を守りながら、生涯家族や友以上の関係となったのです。
トップであるからこそ自分の行いに対して叱ってくれる人を要することが大事であると。「貞観政要」はまさに帝王学の金字塔であります。
この本を読みながら、私も今の自分を省みるきっかけとなっています。
しかし皇帝が諫めまくられるところを覗いてみたいとおもいませんか?
その一節をご紹介しましょう。

誹謗中傷?
ある長官が国政について激しく批判する内容を上書(主君などに意見を述べた書状を差し出すこと)した。
それを見た太宗はとてもショック。腹が立って非難と取り、処罰させようとした。
そこで魏徴がこう諫めた。
「上書きというものは古来手厳しいものであります。手厳しくなければ、君主の心を動かすことはできません。手厳しさは為にする非難に似ております。長官の場合、そのいずれであるかどうかとくとご検討ください。」
「よくぞ申してくれた。ありがたく思うぞ。」
太宗は上書した長官に褒美を賜った。
ちゃんと魏徴が叱っていますね。しかも検討してくださいと、太宗の力量を信じての諫め方です。すばらしい。
先ほども言った通り、皇帝を非難するということは死を覚悟してのこと。ここに気づかず、ただ自分への誹謗中傷と取れば、本来の政治とはかけ離れてしまうということを気づかされる諫言ですね。
現代では様々な厳しい言葉がありますが、これを諫言と取るか、誹謗中傷と取るかはやはり見分ける耳がないといけません。しかし信頼する人の言葉には特に耳を傾けるべきであると、この貞観政要で教えられるのです。

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