こんにちは。和尚です。
みなさんはそれぞれお仕事に就かれて、日々会社や世間のためにご尽力されていることと思います。
色んな業務があり、お給料をいただいてご家族を養われたり、さまざまなお付き合いをされていることと思います。
我々お坊さんも日々何かと仕事があるのですが、いったいどんなものなのか。ちょっと覗いてみましょう。

お坊さんのおつとめ
お坊さんは「お仕事」というより、「お勤め(おつとめ)」と申し上げたほうがよいです。
どんなおつとめか簡単にご紹介させていただきます。
①お寺をきれいにする
②朝のお勤め
③お寺の行事を執り行う
④葬儀や法事でお経を唱える
わりと大雑把ですが、大きく分けてこのような感じです。

①お寺をきれいにする
これは基本中の基本。「作務(さむ)」といいます。僧堂時代では四六時中掃除ばかりで、ひたすらホウキで走り回っておりましたので、肩と胸の筋肉がボディービルダーみたいになっていました(笑)
自分のお寺でもやはり境内掃除はほぼ毎日。寺族みんなで協力し合い、いろんなところをお掃除します。紅葉の季節になると、掃いたそばから落ち葉がパラパラ。集めても集めてもまた積ります。
「洗心(せんしん)」ということばがあるように、人間の心も良いことをきいて、「こうしよう!」と心入れ替えてもすぐに塵が積っていきます。日々まわりのお掃除をしながら心もお掃除しなければなりませんね。

②朝のお勤め
「朝課(ちょうか)」といいます。本尊の延命地蔵菩薩や諸仏、歴代のお坊さんたちのお経、そして檀家さんご先祖と平和を願うお経を読んでいきます。
読むお経は「般若心経」「消災呪」「大悲呪」「仏頂尊勝陀羅尼」「四弘誓願文」。だいたい6:30頃から約20分ほどかかります。
月初め(1日)では、新たなこの月を迎えることができ、また平和でありますようにと願う、「祝聖(しゅくしん)」というお経もいたします。
まわりのお家では、朝のお寺の鐘の音を聞いて安心されることでしょう。

③お寺の行事を行う
特にお盆やお正月、お彼岸などです。すべてはご先祖様にご挨拶と感謝をするために、お坊さんたちは古式に則って檀家さんの前で法要をします。
どれもなかなか段取りが多いのですが、特にお盆は大忙し!暑い中一軒一軒お参りする「棚経(たなぎょう)」や、地域のお坊さんと共に大合唱でお経を読む「施餓鬼(せがき)」などがあります。
その他の臨時行事としては、以前紹介した仏像修復の「開眼供養」や、新しく境内整備を行った際の竣工式である「落慶法要(らっけいほうよう)」などがあります。
どれも大きな式なので、檀家さんと共に協力し合います。

④葬儀や法事でお経を唱える
なんといってもお坊さんの代表的法務。
人間必ず亡くなります。その後はもちろん公的な手続きは必要ですが、それと同じく大切なことは故人を弔うこと。
修行時代に師匠である老師様はこう言われました。
「葬式とは、亡くなってから本人が今までお世話になった方々にお礼ができないから、代わりに親族がお礼をするのだ。」
親族も悲しいけど、いつかはその悲しみも乗り越えていかなければならない。そのケジメの一つとして、故人と親族のためにお葬式をします。
法事はその故人を囲んで、もう一度親族親戚一同が集まるための大事なコミュニケーションの場。このおじいちゃん、おばあちゃんがいたからこそいまの自分が続いていますとご先祖様に深く感謝し、また新しい家族ができたならば報告する場でもあります。
お坊さんはというと、お経を読んでいるときはご家族たちの気持ちを伝える媒体となっています。そしてご先祖様が眠っているお寺へ上がり、お位牌とお墓にご挨拶するのです。


本来の役割
以上、おおまかなお勤めのご紹介でしたが、他にもいろいろとあります。
お坊さんである以上、仏教はもちろんその他の大事なお寺に関する知識の勉強や、事務的な作業、そして何よりも仏教を広めるための活動を工夫していかなければならないのです。
今はインターネットでどんな情報でも手に入る時代。人々の苦しみも一層増え続けます。それを支えていくのがお坊さんの本来の役割でもあるのです。
みなさんが少しでも笑顔で過ごせるよう、いつも心よりお祈りいたします。
