本から学ぶこと

褒めてもらうのってウレシイもの~メンタルヘルスマネジメント「ソーシャルサポート」~

こんにちは。和尚です。

この前法事のあとに檀家さんとお茶をのみながらお話をしていると、

「和尚さんは声がいいね」

「字が上手だね」

「身だしなみがいいね」

など、次々と褒めていただきました。

私もそんな真正面から褒めてもらうことはめったにないので有頂天になり、思わず頂いたお布施を包み返そうかと思いました。

とっても単純なことですが、人間言われてうれしいことってたくさんあります。

今日は「褒めること」からはじまり、「ソーシャルサポート」についてのお話です。

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奥さんの笑顔

また私の経験から

 

遠く離れた檀家さんの一周忌でお参りさせていただいたときのこと。

急に旦那さんを亡くされた奥さん。

当時はあまりの悲しみでお話されるのもままならず、表情も落ち込んでおられました。

それからメールやお電話でいつも息子さんを通じてお話をお聴きし、お寺をきれいにして旦那さんが安らかに眠っておられることをお伝えし続けました。

すると今回の一周忌。車を降りると奥さんに満面の笑みでお出迎えしていただきました。

その笑顔を見たときに思わず「今日はニコニコされていて本当によかった。」とお伝えしました。

すると「家族や和尚さんのおかげでなんとか少しずつ心が癒えてきました。」とおっしゃられました。

その後、仏壇では私の説明通りきれいにお飾りされており、そのことも素晴らしいとお伝えし、私もご家族も気持ちよく法事ができました。

微力ながら奥さんやご家族のお力になれたことが本当に嬉しく思い、「ああ、お坊さんでよかった!」と思える瞬間でした。

ソーシャルサポート

メンタルヘルスでは社会的関係の中、人間が生きていくうえで健康維持やストレスを緩和していくために4つの「ソーシャルサポート」を勧めています。

①情緒的サポート:共感や愛情の提供

②道具的サポート:形のある物やサービスの提供

③情報的サポート:問題の解決に必要なアドバイスや情報の提供

④評価的サポート:褒める 肯定的な評価の提供

これらのソーシャルサポートは人間社会にとって大切で重要なこと。

私が先ほどお話した檀家さんとのやりとりで当てはめていきましょう。

 

①情緒的サポートならば、相手の話をよく聴き、否定はせず共感すること。「傾聴(けいちょう)」でお話させてもらったことですね。

亡くなられた旦那さんの思い出や、いろんなお話をお聴きさせていただいたこと。

 

②道具的サポートは、物やサービス。ここではお葬式の法事の段取りや、旦那さんの戒名を一緒に考えながらおつけしたこと。

 

③情報的サポートは、お寺とのお付き合いの方法や、ご先祖様を安心して安らかにお預かりさせていただいている環境を伝えること。

 

④評価的サポートは、悲しみを少しづつ乗り越え、こうして私と共にご家族と法事ができたことの有難さや、奥さんが笑顔になったことを素直にお伝えしたこと。

 

どれも大切なサポートですが、その根底には「相手を思いやる気持ち」があってなされることであります。この「ソーシャルサポート」がうまく活用できていれば、人間関係も良くなり、ストレスもなくお互い気持ちよいお付き合いができることと思います。

簡単です。まずは④評価的サポートである、「相手を褒めること」から始めていきましょう。そしてこの4つを意識してみんなで日々気持ちよい生活を送っていきましょう。