こんにちは。和尚です。
「スピード」という映画があります。
とある路線バスに爆弾が仕掛けられ、時速80Km以下になると爆発してしまう。乗っていたのはヒロインの一般女性サンドラ・ブロック。そこへ主人公キアヌ・リーブス扮する特殊部隊SWATのヒーローが、数々のピンチを切り抜け助け出すという絶体絶命アクションムービー!
映画の最後には、無事この最悪な状況を切り抜けた2人が結ばれるというラブストーリー。観ていない方、すいません。言っちゃいましたがそれでも大体パッケージから予想できると思います(笑)
このハラハラドキドキ状況のなかで恋が生まれるという話は、心理学でもちゃんと立証されています。今日はそんなお話。

吊り橋効果
「吊り橋を渡る」といった状況に代表されるドキドキハラハラするような状況に置かれると、その時のドキドキが一緒にいる人の魅力であると解釈されやすくなり、恋に落ちやすくなるという現象
これを「吊り橋効果」といい、心理学ではとても有名な理論。恐怖や不安を一緒に体験した人に恋愛感情を持ちやすくなる心理効果のことですね。
映画「スピード」なら、止まったら爆発というバスの中がドキドキ状況。その状況でお互い協力し合うかっこいいヒーローと美しいヒロインが、ピンチを乗り切り恋が生まれるという、まさに「吊り橋効果理論」のストーリー。
これは恋に落ちやすい状況をつくり、その過程を共有して成功率を上げるという意味では効果的でしょうが、恋愛だけではなくいろんなところでも効果がある理論です。

スポーツやビジネスにおける応用
例えばボクシング。私も経験者なのでわかるのですが、試合までは相手を倒すために必死で練習する。近づくにつれ恐怖し、当日は死ぬほど緊張。試合が始まりお互い死力を尽くして殴り合い、終了のゴングの瞬間、さっきまで殴り合っていたのに、お互い笑顔で抱き合います。
離れていても恐怖と不安と厳しい練習をしてきた経験は同じ状況で、ゴングと同時にそれが解放されたことは、何の怒りや偏見もない、自然とリスペクトして認め合えるのです。

これはビジネスでもいえることであって、大きなプロジェクトや案件を成功させるには様々な苦労と労力がいります。
チームでこの苦労を共有していくことは、まさに「吊り橋状況」といえます。そんな苦労を乗り越えた先には、きっとそのプロジェクトに携わった人間同士の結束は強くなることでしょう。
協力し合い、共に大変な状況を分かち合う。
人間にとっては大切な営みの一つですね。そしてもう一つ大事なことは、この効果を持続させること。
「吊り橋効果」はすぐ冷めやすいともいわれています。でも持続といっても毎回ピンチな状況を作るのは正直ゴメンですね。
禅で大切なことは、その瞬間瞬間を一生懸命に生きるということ。つまり人生の目標のための研鑽や、生活する上で決めたルーチンを怠らないよう日々を過ごすこと。
そうです。わざわざピンチを作るのではなく、一日一日大切に生きることによって人生の「吊り橋効果」が持続していくのです。
ちなみにさきほどの映画の続編「スピード2」では、2人はさっさと別れていました(笑)