こんにちは。和尚です。
みなさんは色々な場面で、親や立場が上の人に注意をされたことがありますね。私もこの年になってもたまに注意されることがあります。
以前に紹介した「貞観政要(じょうがんせいよう)」では、「諫める(いさめる)」お話をしました。善き政治を行うために、皇帝に対して部下たちが諫言(かんげん)するという帝王学。皇帝にとっては耳の痛い言葉ばかりですが、謙虚に聴く姿勢を教えられます。
しかし注意する側も気を付けなければなりません。注意というのは相手の行いに対して「こうだよ」と諭すこと。この注意の仕方に2タイプあります。
それが「叱る」と「怒る」ですね。
今日はこの2つをお話します。


「叱る」と「怒る」
①叱る
目的があり、相手の改善しなければならない点を注意、指摘して、今後の成長を促す。
②怒る
気に入らないことを感情的に相手にぶつける行為。
たったこれだけの違い。②「怒る」は相手よりも自分を中心としています。だから相手には不快としか取られません。
①「叱る」は相手やまわりのことを考えての行為。この2点の違いをまずは押さえましょう。
そして「叱る」にあたって気を付けなければならないことは、いつの間にか「怒る」に変化してしまうこと。ここに怒りを伴ってはなりません。そうはならないよう「上手な叱り方」3つのポイントを押さえましょう。
人前では叱らない
人前で叱ることは相手の恥を人前でさらしているだけで、最も悪い行為。ここには相手を貶めて自分を上げる感情が隠されているからです。そうならないためにも一人の時に叱ること。
しかし大勢の前で叱らなければならない場合もあります。それは不注意でまわりの安全を脅かし、被害を被るかもしれないとき。気のゆるみで大惨事になったらえらいことです。例えて言うなら、子供が学校で授業中に喋っていて先生に一喝されるようなことですね。
一つに絞る
叱っている最中に「あれもこれも・・・」というように頭に浮かんでくるとは思いますが、ここは必ず一つに絞ること。
注意したいことを矢継ぎ早に重ねられると、相手は自信を無くすか、あなたの信頼を無くします。
感情的にならない
怒ってはいけません。叱るときに気を付けなければならないすべてに当てはまります。一つ一つ整理して冷静に、しっかりと的確に整理したうえでお話しましょう。また場所やタイミング、そして相手への気遣いやフォローが重要です。

怒りを抱くこと
これらのポイントを意識すれば、少なくとも自分の頭が感情に支配されずに済みます。
しかし気を付けなければならないことは、自分と相手の価値観は全く違うこと。どんなに正しいことで「絶対こうだ!」という思いで伝えたとしても、価値観が違えば平行線。
相手を変えることは不可能!
そこにストレスを感じるかもしれませんが、「言うべきことは言う」ところでとどめておいてください。怒りとなってしまえばそこでムダなエネルギーの消費となります。
大丈夫です。自分の価値観を理解してくれる人は必ずいますから。
ブッダのことば
怒りを抱くことは
熱い炭をつかんで誰かに投げつけようとするようなもの
やけどをするのはあなた自身である
