こんにちは。和尚です。
仏事によく使われている法具、その名も「数珠」。
和尚さんたちが使用する長いものもあれば、一般の方々がお守り代わりのアクセサリーとして、手首に掛けているのも見られます。
今日は数珠のお話。

数珠の歴史
古い時代で言えば、正倉院の文献では「誦数」と書かれているんだ。「誦(じゅ)」という漢字は、となえる、声に出してよむ、という意味。
だから念仏やお経をとなえるときに数を数えるための法具として使われる由縁があるんだよ。
以前にお話したタイなどの南方仏教(上座部仏教)では、律には数珠を必需品として書かれていない。だから禅の雲水さんも、その関係で修行中ということで数珠は使用しないんじゃないのかな。
これは私の推測です。

形や玉の数

臨済宗の数珠
それに主珠より小さい4つの珠「四天珠(してんだま)」が間に入る。これは仏教を護持する東西南北の四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天[=毘沙門天])を意味し、使用者をお護りしてくださっているんだよ。
それで片手数珠になると半分の54珠、三分一の36珠、四分の一の27珠、六分の一の18珠がある。
そして材質は水晶や翡翠、象牙、瑠璃、菩提樹の実などがある。
形は丸いのが基本。ソロバンみたいな珠もあるけど、あれは修験道専用の「伊良多加念珠(いらかたねんじゅ)」とよばれるもので、仏教では使わないよ。
気を付けなければならないのは、一つ目は実で作る場合だと、未熟なもので作られたもの。これは「死に珠」と言って忌み嫌われている。
二つ目は形。たまに骸骨の形の彫刻なんかあって、よくシルバーアクセサリーなんかでみられるデザインだけど、数珠はアクセサリーではありません。そんな変な形をしたものを数珠として使用したら、それこそお護りしてもらえません。
これは数珠を持つ左手が仏様の世界、そして右手が我々の世界という意味だからです。
数珠は「自分を護ってくださる法具」として意識して身に付けてください。
そして購入するときには必ずご自分の宗派を数珠屋さんにお尋ねしてね。
また購入できるお寺もありますが、菩提寺(自分がお世話になっているお寺)で魂入れ(お性根入れ)をしてもらうと良いと思います。
数珠はお守り。大切に保管し、使用するときは丁寧に扱ってください。また切れたら不吉であるとは思わず、ひとつの願いが成就したと考えて、もう一度修理に出してください。
