本から学ぶこと

人生はたらいの中の水~般若心経の「空」~

こんにちは。和尚です。

最近の好きなTV「オモウマい店」

大盛のおかずで原価無視はもちろん、サービスや店のオーナーさんたちの活躍と魅力で、こんな時代でもお客さんが大賑わい。人情味あふれるそんなお店を全国津々浦々紹介する番組。

その中で心に残った回があるのですが、お店の名は「すぎちゃん」。個性豊かな岡山弁で元気なすぎちゃんは「食べんちゃい!食べんちゃい!」と、タダでどんどんお客さんにおかずを出しまくり。

なぜこんなにお客さんにサービスするのか・・・。番組が進み、こんな言葉をおっしゃっていました。

人生はたらいの中の水

たらいの中の水って自分の方へ自分の方と集めても

手からこぼれて流れていってしまう

逆に自分の方から外へ外へと水を押して流せば

外へ流した水は必ず自分の方へと戻ってくる

私の母が岡山出身なので、この岡山弁も心地よかったのですが、やっぱりすぎちゃんのステキな言葉に感動した回でありました。

なぜこの話が心に響くのか・・・。そう、「たらいの中の水」は般若心経の「空」と同じなのです。

今回は般若心経の「空」についてのお話です。

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般若心経の「空」

この世界はいろんな自然の営みがあります。

例えば「今日は雪が降った」「あそこの家で子供が生まれた」「たくさんの作物が実った」など、日々いろんな出来事があります。しかしそれらは別々の現象ではなく、何かひとつの大きな法則の中で行われているのではないかと考えました。

円周率のΠ(パイ)のように、あるのはわかるけれども記号でしか表せない・・・

つまり「空」とは、誰にも説明できない、この世をすべて繋げてている法則を表す記号なのです。

その世界観で物事を見れば、苦しみもわだかまりもない・・・

喜びも、悲しみも、苦しみもすべては「空の法則」によって繋がっている。

すぎちゃんの言われる「たらいの中の水」なのです。

求めることではなく、水を分け与えることによっていずれは自然とたらいに戻ってくるのです。

 

さらに般若心経ではこう書かれています。

「目や耳、触覚などの感覚器官はもちろん、お釈迦さまのお悟りである哲学的思想も、すべては無い」

ある意味仏教を否定しているようにも取れるのですが、そうではありません。

この「無」固定観念をもう一度リセットし、縛られた心の迷いを解き放とう!ということ。

お釈迦さまのお悟りも超えた世界、そこには何の縛りもない自由自在の世界が広がる。

「空」は仏の智慧であり、般若心経が我々に与えてくれる、勇気の記号なのです。