日常

ごめんねタケちゃん~或る罪の告白~

こんにちは。和尚です。

この世の中には絶対にやってはいけないことはたくさんあります。

例えば殺人、放火、詐欺、窃盗、暴力など、数え切れぬほどあるでしょう。そしてそんな事件を犯した人は罪を背負い、暗い影を落としながら人生をかけて償うことになるのです。

実は私も暗い過去を背負った、凶悪でおそろしい罪を犯してしまった人間の一人なのです。

今日はこのブログを借りまして、長年苦しんでいた罪を告白し、懺悔させていただきたいと思います。

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兄貴のプラモデル

タケちゃんは近所の同級生。とても頭がよくクールなヤツ。それでいてどこかボクトツなところもあり、小学校の時はいつも仲良く遊んでいました。

そんなタケちゃんには2人の兄貴がおり、一番上の兄貴は年が5つ離れていたので、家に遊びに行っても顔を合わすことはそうそうありませんでした。

ある日、いつものようにタケちゃんの家で遊んでいると、2階の部屋が半開きになっているではありませんか・・・

私「あそこは何の部屋?」

タケ「1番上の兄貴の部屋だよ。」

ふーん・・・と空返事を返しながらも、小学生の私にしてみたら好奇心バクバク!うちは姉が2人なので、そんな5つ上のお兄ちゃんの部屋なんて私にとっては憧れの未知なる場所!

(入っちゃダメだ・・・!)

と思いながらもやはり好奇心と怖いもの見たさには勝てず、タケちゃんがマンガに没頭しているスキに、ついに侵入することに・・・

コソーっと戸を開け中に入ってみると、そこはキチっと整理整頓されたきれいな部屋でした。エ〇本でも散らかってないのかと期待していたのですが、見事な美しさに小学生の私でも見とれてしまうほどでした。

(何かあるはずだ・・・)

もはや現場検証をするサスペンス映画のごとく、探偵や刑事のような感を働かし(別に兄貴は悪いことひとつもしていない)部屋中を見回すと、机の引き出しがまた半開きに・・・

(これは物的証拠が出てくる出てくる前兆だ!)

と、引き出しを開けてみると、そこには造りかけのプラモデルが!しかも大好きなガン〇ムに出てくるド〇というロボット。足だけきれいに造られており、他のパーツは切り離されていない。箱にはボンドやハサミなどの道具もそろっている。

(ちょっと仮組みだけして、またわからないようにバラしてもどしておこう・・・)

ボンドだけは絶対使わないぞ!と誓ったのですが、気づけばパーツも切り離し、すべて接着完了していました。

(やってしまった・・・)

とそこで罪悪感が芽生え、タケちゃんのところへ報告しに行こうとした瞬間、「ただいまー」と兄貴が帰ってきたのです!

私はあまりにも焦りすぎて、あろうことかそのまま「帰るわー」と、トンズラをこいてしまいました。

ゴメンねタケちゃん!

次の日・・・

学校に来たタケちゃんの顔面は思いっきりシバかれたあとがあり、ほっぺはミミズ腫れに・・・。

私「ど、どうしたの?」

タケ「なんか兄貴のド〇が勝手に造られていたらしく、おれのせいにされてドツかれたんだわ・・・」

私「・・・(ヤッベー・・・)」

タケちゃんの顔面を見てビビりすぎてしまった私は、そのまま何も言えずに、「た、大変やったね・・・」とごまかしてしまいました。

しかしこれではダメだと思い、やっぱり正直に謝ろう・・・と決心し、帰ってから急いでタケちゃん家に行きました。

そして家に着き、さあ謝ろう!と自分を勇気づけながら玄関までの道のりを歩いていると、ふと一つのベンチが視界に入ってきました。

よく見るとそこには、例のプラモがエアガンでハチの巣にされ、無残な姿で放置されているではありませんか!

その様子たるや、実弾(プラスチックのBB弾)とペイント弾(当たれば破裂する特殊な弾)でグチャグチャに破壊され、不気味にも兄貴が造った足の部分だけがきれいに残っている状態でした。

その凄惨な姿に戦慄と恐怖を覚え、私は無言のまま180゜回れ右をしてまた帰ってしまったのでした。

 

あれから30年以上も経ちますが、未だそのことは謝れずにいます。タケちゃんは4年ほど前に結婚して式にも呼んでもらい、その時に言おうかと思ったのですが、なんだか湿っぽくなるのも嫌だったので、ついに言えずじまいとなりました。

しかしこのことはちゃんと懺悔しなければなりません。これ以上暗い過去を背負って、墓場まで持ってはいけません。今年はタケちゃんの親父さんの法事。この機会にタケちゃんに正直にお話するつもりです。

その前にこのブログを借りて、一言だけ言わせてください・・・

 

「ゴメンねタケちゃん!」