こんにちは。和尚です。
今年は寅年。
真っ先に私の頭に流れる曲はタイガーマスクの入場曲「虎になれ」。初代タイガーマスク佐山聡の四次元殺法は未だ動画で見返してしまいます。
そして虎と言えば何といっても中島敦の「山月記」
わずか15ページほどの内容は衝撃的でした。漢文調の口語体で、文章の美しさとテンポの良さ。高校生当時の私には憧れとカッコよさを感じた物語でした。
そして地元の有志で結成された読書会。栄えある最初のお題でした。
物語の内容も含めて、少し紹介いたします。


山月記あらすじ
李徴(りちょう)は博学で天才。若くして科挙(かきょ)と言われる中国一の試験に合格するほどの男。
その性格はプライドが高く、人を寄せ付けない振舞。
己が天才と思い込むが故、詩で名を残すことを決意するが、作れども作れども一向に世に出ない。
当時の詩人というのは、当代随一の知識人と知られる存在。
有能優秀にもかかわらず、詩作に耽るあまり家族を養うことができなくなり、仕方なく再就職することに。
職場では以前、自分が見下していた者たちが上司となっており、屈辱に耐える日々。
ある日ついに李徴は発狂し、暗闇に消えていった・・・
時は移り、官僚である袁傪(えんさん)は、勅命によりある地へと向かう。
急ぎのため、夜間に宿を出ようとすると駅吏(案内人)から、「ここは人食い虎が出没するので、やめたほうが良い」と忠告を受ける。
しかしこれだけの準備と人もいるので、忠告を受けず袁傪は出発するのであった。
夜道を歩いていると突然一匹の虎が現れる。
袁傪に襲い掛かると思いきや、虎は踵を返してまた草むらに隠れた。
「あぶないところだった・・・」
聞き覚えのあるその声は、かつて親友であった李徴の声であった。
読書会
あらすじとしてはこのような内容ですが、なぜ李徴は虎になったのか・・・
後半はでぜひご確認を。
作者の中島敦はなんと33歳の若さで亡くなっています。この「山月記」はなんとデビュー作。天才ですね。

彼の作品の中でとっても好きなのが「名人伝」
もう凄すぎて笑ってしまいます。
お話してしまいたい!と思うのですが、私の私見はさておき、今回の勉強会では様々な意見が飛び出しました。
・李徴の姿は虎ではなく、人間のままであった説
・李徴は頭の良い厨二病説
・駅吏と李徴はグルで盗賊説
・李徴タイガーマスク(被り物)説
他にも女性から見た李徴という人間性や、禅の視点から見てみるとこうなるなど、面白い見方ができました。
古典名作をこのように改めて読むということの面白さと大切さ。そして各々の視点の違いとアイデア、妄想。
この機会を設けていただいた主催者に感謝です。
第2回は夏目漱石の「こころ」と決定したところで、今回の読書会はお開きに。