公案

伝説のPK戦~吹っ切れる世界~

こんにちは。和尚です。

伝説の試合

それは2004年行われたサッカーアジアカップ。

準決勝に奇跡は起こりました。

中国開催であったため、当時は反日感情が強く、代表たちはひどい対応を余儀なくされており、試合どころではなかったそうです。

相手はヨルダン。

日本より格下でありましたが、そういった状況下の中、ヨルダンに先制を許してしまします。なんとか後半追いつきPK戦へ。

日本代表は立て続けに2本も外し、もう後がない・・・

あと1本決められれば負けるというときに、なんとGK川口能活さんがファインセーブ!

そこからさらにハラハラドキドキの展開を経て、ついに最後はまた川口さんの神セーブ連発でついにPK戦を制しました!

一番のヒーローとなったGK川口さん。

当時の状況をTVでこう語られました。

あのPK戦では最初は緊張して全く足が動かず、立て続けに決められた

しかし何度目かで、決められたけれどもなぜか飛べたんだ

その瞬間から力が抜け、あとのファインセーブにつながった

そして次のように語られました。

そこからは相手とボールが同時に見えるだけ

まわりは全く見えない状態だった

まさに「ゾーン」というものです。仏教でいうところの「三昧(ざんまい)」です。

あなたも思い悩みすぎてどうしようもない・・・というときに、何かのはずみやきっかけでふと吹っ切れたことはありませんか?

これこそがひとつの「悟り」というものなのです。

坐禅とともに~寒泉に浮かび上がる美しき孤月~こんにちは。和尚です。 我々禅宗は何といっても坐禅。 ・曹洞宗は黙照禅(もくしょうぜん) ただひたすら坐ること、その姿...

香厳激竹

昔、香厳禅師という聡明なお坊さんがいました。

ある日師匠から、「君の父母も生まれる前の所からわしのために一句を言ってくれ」という問答を与えられました。

答えに窮した香厳は、師匠に答えを聞こうとします。しかし師匠は教えてくれるはずもありません。

自分の修行が足らないと絶望し、一人孤独に山へこもり、ひたすら修行に励むのでした。

ある日ほうきで掃除していていると、掃いた石が竹に

「コツーン」

と当たりました。すると、なんとその音を聞いた瞬間に香厳は吹っ切れました。つまり悟ったのです!

ここでなぜ竹の音で?と疑問になるでしょう・・・

そう、この音こそが、大自然の音、つまり真理の音なのです。

「僕、私」を越えた、まさに父母より生まれる前からずっと続く、永遠の音なのです。

香厳は師匠に一句を持っていきました。

「画に描いた餅では腹はふくれない」

なんでも頭で考えたって何ともならない。一旦捨てきること。そこから生まれたものこそが真理であると。

 

あれやこれやととらわれている世界が迷い。

日常の些細な出来事にこそ、本当の真理が隠されています。いつもそんな自然の中にあなたはいるのです。