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テーラワーダの風・番外編②~任侠道世界に残る、仁義なき仏教用語~

こんにちは。禅宗のお寺、潮音院和尚です。

テーラワーダの風・番外編②

任侠道世界に残る仏教用語!

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布薩堂の造り

雲水くん
雲水くん
任侠道の世界って、あの、仁義なき世界??
和尚
和尚
そうだよ^^

前回の番外編では戒律について、この布薩堂が大変重要な建物だということをお話したね。

雲水くん
雲水くん
うん。僧団組織を円滑に保つための「律」と、お坊さんとしての心構え「戒」があって、この布薩堂は組織の大事な決定をする場所ってことだったね。

この場所がどうしてあの世界と関係があるの?

まさか任侠世界にも盃交わしている大事な場面とかがあるから、その場所が布薩堂とか??

和尚
和尚
いやいや、さすがに布薩堂で盃は交わさないでしょう(笑)

じゃあこの写真をみてみよう。

お坊さんではなく、建物の造りをよく観察してみて。

雲水くん
雲水くん
うーん、屋根はに茅葺(かやぶき)で、たった数本の柱に床はただ板を張り巡らしただけの質素な建物だね。中には仏像が安置されてる・・・
和尚
和尚
建物の造り自体はそうだね。

じゃあ床から下の造りを見てみて。

雲水くん
雲水くん
なんだか床下の地面が掘られてて、石で囲まれているね。

湿らないように通気性を良くしているってことなのかな?

和尚
和尚
それもあると思うんだけど、ここが今回のお話に関係するところなんだよ!
雲水くん
雲水くん
建物じゃなくて、床の造りか・・・

ますますわかんない^^;

サンガ

和尚
和尚
この布薩堂は先に言った布薩(懺悔会)や出家してお坊さんになるための儀式のほかにも様々な重要な決め事をすることはお話しました。

布薩(懺悔)とは、ちゃんと仏の教えを守っているかという確認の儀式だよ。

仏教は大きくなるにつれてたくさんの人たちが出家してお坊さんになった。

何人か(律では4人以上とされている)が集まってサンガ(僧団生活を送ることになり始めたんだけど、インドにお坊さんたちが散らばっている状態で仏教がしっかりと守られているか確認しようと思ったら全員同じ場所に集まれないよね。

だから布薩堂は仏教の戒律を守りながらその地域で生活できるよう、重要事項などの決定するためにそれぞれ個別のサンガに造られたんだ。

雲水くん
雲水くん
なるほど、遠く離れた場所でも組織がコントロールできるための場所こそが布薩堂ってことなんだね!

パーティモッカ(波羅提木叉 はらだいもくしゃ)。お坊さんが守るべき戒が書かれている書。これをみんなで読んで、月2回の布薩(懺悔会)を行う。

シーマ

和尚
和尚
で、ここからが大切。

たとえばAサンガがあって、Bサンガが近くにやってきました。

懺悔会をAサンガでするんだけどけど、布薩堂はAもBもある。

さあどっちでする?

雲水くん
雲水くん
え?先にいたAサンガかなー??
和尚
和尚
ブー
雲水くん
雲水くん
Bサンガ?
和尚
和尚
ブー
雲水くん
雲水くん
じゃあどっちも!
和尚
和尚

ブーブー!

そんなの2回も同じことしなきゃいけないでしょ。

答えは別々でする。

雲水くん
雲水くん
えー!でも近く同士だったら一緒にしたらいいじゃんか!
和尚
和尚
そうなんだけど、やはり同じ仏教サンガでもそれぞれ違う組織なので一緒になることは難しいんだよ。

例えば臨済宗で言えば、相国寺と天龍寺を一緒にできるかな?ってことなんだよ。

雲水くん
雲水くん
そ、それは難しいね・・・
和尚
和尚
それと同じで、スタイルが違うから難しい。

そこでそれぞれのサンガを特定独立させるために、布薩堂を拠点とさせたんだ。

そしてAサンガ、Bサンガの布薩堂は独立しているから重ねることはできない。

つまり縄張りをつくることで、お互いに別々で行動できるようにした。

その縄張りの中心こそが結界なんだ。

 

雲水くん
雲水くん
へー、結界かー・・・。日本でも陰陽師なんかできいたことがあるね。

それで最初の話、任侠世界と関係あるの?

和尚
和尚

結界ってなんかゲームとかおとぎ話の話みたいだよね。

結界はむこうの言葉でシーマっていうんだ。

この響きこそ、任侠世界の人たちによく使われている言葉なんだよ!

「おいワレ!うちのシマ荒らしやがって!

シマ。

雲水くん
雲水くん
あ!そのセリフ、映画なんかでよく聞くセリフだ!!
和尚
和尚
そうなんだよ。

つまりみんなは島(island)勘違いしてたんだと思うんだけど、彼らは結界のことを指して言っているんだよ!

直訳すると

「ねーキミ、ボクの結界を荒らしてしまっているね

てことだね^^

雲水くん
雲水くん
ずっとのことだと思ってたよ!
和尚
和尚
まあ本人たちも意識して言っているのかわかんないけどね^^;

で布薩堂の床下。

説明すると、結界石を置いて、その中にお堀を造って、その上にお堂が建てられているんだよ。

つまりお堂は結界(縄張り)の中ってわけさ^^

雲水くん
雲水くん
なるほど合点!

なんだか頭の中で仁義なき音楽が流れてきたよ・・・

今度托鉢で違うお寺のお坊さんに出会ったときは、「ウチのシーマ、荒らさないでもらえませんか?」

といってみるよ(笑)

和尚
和尚
コラ!そこで使うんじゃない

 

このお話のほかにも、いろんなところで仏教用語が使われています。それはまた次の機会に^^