銀碗裏盛雪(ぎんわんりに ゆきをもる)
夜中に大きな音がしてふと目が覚める。どうやら屋根から落ちる雪の音。
起き上がろうとも寒くてまた布団にくるまり、そのまままどろむ。
朝起きて玄関を開ければそこは広がる白銀の世界。

2021年の締めくくりは、なんといっても雪。
特に日本海側では久々に大雪に見舞われました。お寺の前の施設では、出勤してくる車が次々とスリップし、後続車は立ち往生。
数十人で苦労して一台一台を救出し、何とか交通できるようにとご苦労されながら力を合わせておりました。
またウィンタースポーツが好きな友達は大喜び。スノーボード準備をすると、SNSなどで投稿していました。
雪ひとつ取っても人の心はそれぞれ。
良い悪いを決めているのは自分ということ。
そんな雪ですが、別の読み方で「すすぐ」ともいいます。
本来の意味は「試合などの前に辱めを受けた相手に対して勝利し、恥をそそぐ(除きさる)」こと。
「雪辱(せつじょく)」という言葉はここからきています。
修行時代の後輩の名字はこの「雪」で、読み方は「すすぎ」。珍しい名字だなあとそこで初めて知りました。そのあといたずらで名札に2本線を付け足し「雷」にしておいたところ、偉いお坊さんに「お前はカミナリ様か?」と聞かれていました。
未だその後輩からの雪辱を晴らされていないのがちょっと怖いですが・・・。

さて、「すすぐ」でも漢字は2種類あります。
①濯ぐ・・・外見の汚れをきれいにする
②雪ぐ・・・けがれた世の中や心を清める
①は洗濯という字に使われるよう、泥や汚れを洗い流すような意味。
②は穢れを清めるといったような、心にまつわることと捉えていただければいいと思います。
「雪」というのは我々にとって生活しにくいものではありますが、「雪ぐ」と読んでいただき、自分の汚れた心や今までの行いを慙愧する。

今年は皆様にとってはいろんなことがあったことでしょう。私自身もたくさんの出会いや別れ、そして良いことや悲しいことがたくさんありました。
自分の行いを見つめ直しながら、2021年最後の大晦日はに雪かきをしながら自らの心に雪辱です。
そんなこんなで今年一年の締めくくりとさせていただきます。
このような駄文だらけのブログを読んでいただいた方々には本当に心から感謝申し上げます。来年皆様のご健康とご多幸をご祈念いたします。
潮音院小住
鈴木元浩 拝
